店舗案内
  営業時間/10:00〜18:00
  定休日/日曜日
  電話番号/042-747-7118
  お店への地図はこちらから

お問い合せフォーム
 ダイヤに関するご質問はメール
 またはお電話にてお問い合わせ
 下さい

豆知識
・ 結婚記念日の贈り物って?
・ 薬指にはめるのは何故?
・ ダイアモンドの鑑定
・ 世界で有名なダイアモンド
・ 銀の黒ずみを取る・つける
・ ジュエリーの技法(歴史)1
・ ジュエリーの技法(歴史)2

クラフトマン藤崎保  担当 藤崎 保
・1990年
  東京宝石デザインスクール卒
・2006年
  JJAジュエリーデザイン
  アワード初出展で入選
・神奈川宝飾工芸組合員

ジュエリーの加工・技法、歴史、スキタイ


ヨーロッパ宝飾芸術の源流


  古代オリエントとギリシャの影響、表現は騎馬民族ならではのもの
  【 スキタイ 】

  THE SCYTHIAN 7c〜3cB.C

ロシアの草原地帯を遊弋(ゆうよく)した騎馬民族


スキタイとは、紀元前7〜8世紀頃に黒海の北岸からドナウ川あたりまでを
勢力圏とした騎馬民族の名前。
様々な民族との抗争あるいは混合により盛衰を繰り返したものと思われるが
詳細は不明である。
金属細工にきわめて優れ、そのクルガン*1と呼ばれる高塚からの出土品には、
世界の古代文化の中でも筆頭のものと言える金細工品が多く含まれる。
スキタイ文化は、前7〜5世紀の前期と、前4〜3世紀の後期とに分かれるが
前期のものには古代オリエントの、後期のものにはギリシャの影響が色濃い。

動物の文様が打ち出された魚のペクトラル


動物の文様が打ち出された魚のペクトラル

鑑賞ポイント

  金の一枚板を打ち出したもの。
  使途は不明、おそらく胸飾り。
  それにしても、魚の表面に打ち出した鹿を襲うライオン、尾ひれに配した羊の頭と発想は奇想天外。
  スキタイの族長の墓からの出土品。   紀元前500年頃、ベルリン古典古代博物館蔵。

特徴的な動物文と移動に適した装身具


前期、後期を通じて共通するのは、デザインが動物、あるいは動物同士の
争いを描いた物が中心であることだ。
前者を動物文、後者を動物闘争文と呼ぶが、これはいかに遊牧を主とする
騎馬民族ならではのデザインと言えよう。
また、馬に乗って移住することが常であった民族に固有のことだが、移動に
際して邪魔にならないようアップリケ状に衣服に縫い付けて使うジュエリーが
多数あり、逆にイヤリングやブローチ、ブレスレットといった移動生活にとって
不便なものは、きわめて少ない。
 前期のジュエリーは金と銀、それにブロンズ製である。
デザイン的にはほとんどが動物の関わりに制限され、技法的にも金の場合は薄板への
打ち出しに、ブロンズの場合は多くが鋳造に制限され、宝石類の使用はほとんど無い
これが、後期のものとなると一転してギリシャ風のデザイン、つまりアンフォーラ*2
や女神像、動物像を先端に付けたトルク、人物像を彫った指輪などが登場する。

古代の技術とデザインが結集したスキタイの胸飾り

古代の技術とデザインが結集したスキタイの胸飾り

鑑賞ポイント

  太いねじった金線4本の間に、中央に鳶と花模様を配した金の板を置き、その上下に動物文を精緻に描いた
  古代金細工の逸品。
  動物のデザインは明らかにスキタイなど遊牧民のものであるが、金の細工そのものはギリシャの流れを汲むもの。
  古代文明の組み合わせの不思議さを見せる名作である。
  紀元前4世紀頃、国立ウクライナ歴史宝物館蔵。

 宝石も少ないながらガーネットやコーネリアン、ガラスなどが使われる。
とは言え、数の上ではやはり動物文様の金製品が圧倒的に多い。
ただそれらも、前期のシンプルな作りのものと比較すると、技術的にはきわめて高度となる
 こうした後期の金細工品が黒海沿岸にまで植民したギリシャ人の工人によって
作られたのか、あるいは技術を学んだスキタイ人が作ったのかは専門家の間でも
意見が真っ二つに分かれる。
 国立ウクライナ歴史宝物館が所有す胸飾りには、首をひねる。
これは中空の金管が4本走り、その間に、上には動物を飼う人間像が、
中間には金の貼り付けで連続花模様が、そして一番下には互いに噛み合う動物文、
つまり動物闘争文の恐ろしいまでに精緻な作りで表現されたものが配されている。
これなどは、デザインはスキタイ、作りの技術はギリシャと推測されるが、さて、
どのような状況でこのすごい胸飾り-世界中の金細工でベスト10入り間違いなし-は
作られたのか、いろいろな説が考えられる楽しい作品である。

*1:ロシア語で丘を伴った墳墓の意、南ロシアやカフカス地方に多く見られる

*2:古代ギリシャの壷、あるいは瓶で、左右対称に取っ手があるもの。

_______________________________________________________________________________________________________________________________________________
ヨーロッパの宝飾技術と歴史
@ ヨーロッパ宝飾芸術の源流
| 古代エジプト | メソポタミア | 古代ギリシャ | エトルリア | スキタイ |
| ケルト | アングロサクソン | ヴァイキング | 騎馬民族の世界 |
A 古典期から近世へ
| ヘレニズム時代 | 古代ローマ | ビザンチン | 中世 - 1 | 中世 - 2 |
| ルネサンス - 1 | ルネサンス - 2 | マニエリスム | バロック | ネオ・クラシシズム |
B ヨーロッパ近世以降とアメリカ
| ナポレオン時代 | ジョージアン | センチメンタリズム | ヴィクトリアン | 第二帝政期 |
| ヒストリシズム | ヴィクトリアン - 2 | カステラーニ一族 | 奇々怪々な素材たち |
| モーニング・ジュエリー | ベル・エポック - 1 | ベル・エポック - 2 | 第三共和制とフランスの愚挙 |
| アメリカからの新風 - ティファニー | ジャポニスム | 照明と宝石の関係 |
C 19世紀末から第二次世界大戦
| アーツ・アンド・クラフツ | アール・ヌーヴォー | ルネ・ラリック |
| ファベルジェの技 - ギヨシェ、エンジンターン | エドワーディアン | プラチナの登場 |
| カルティエ一族 | アール・デコ | 女性の実用小物 | 現代の天才たち |